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オタクゲーマーによるソシャゲガチャ擁護論

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1.はじめに

 

ゲーム界隈のみならず一般ニュースをも賑わすことが見受けられるようになった”ガチャ”

いわゆる「PS至上主義」のゲームや、MMORPGにドハマリしていた経験もある自身としては、

現在のソシャゲ環境を両手放しで歓迎できるとは言いがたいものの、ガチャがあることでゲームの魅力が上がった部分もあると感じているのも確かである。

本記事では、「ガチャのあるソシャゲRPG」をベースにガチャの価値や意味について記述していく。

 

2.オフゲ&オンゲ

 

まず、RPGというジャンルのもとにビデオゲームをプレイする動機に関して考えなおしてみる。

開始からクリアまでを一人で行う”オフゲー”での目的は「より良いプレイ体験」にあると言えるだろう。

期待するコンテンツに見合うであろう代金を先払いし、ゲーム内での演出、シナリオ、試練や達成をプレイヤーの望む形で受け取ろうと取り組むことで恩恵に授かることができた。

中には体験に至るまでの過程で単調な作業や厳しい試練を迫られるケースもあるが、2周目以降の追加要素であったりと、クリアの必須条件として義務付けられる場合は少ない。

クリアまでのプレイ濃度をプレイヤー自身が管理し「より良い体験」を得ることに特化されたカテゴリだと言えるだろう。

だが、同じRPGでありながらも舞台がオンラインとなることでこの目的はやや異なってくる。

“オンゲ”でのクリアは一般的に「メインシナリオを完走する」ことを差さず、そもそもクリア不可なものとして認知されている。

1プレイヤー視点で考えた場合、オフゲでは不可視であった他のプレイヤーの進行度が嫌でも目に入り、交流の有無を問わずに存在が感じられるようになっている。

当然のこととして、どんな開発であれ、あらゆるプレイヤーの進度を越えるシナリオを実装するのは不可能であるため、各運営は追加コンテンツまでのつなぎとして「プレイ時間によるプレイヤーの階級化」を図った。

フレンドと共に狩りをするために数十時間のレベリング、あらゆるプレイヤー相手に無双するために数百時間の金策が求められるようになる。

UO、RO、Lineageなどのオンゲ全盛期タイトルのアプデは3~6ヶ月に1度程度と低頻度だったのにも関わらず、あれほどの人気を保っていたのは、

ヘビープレイヤー達が狩りなどの単純作業を心底楽しんでいたからではなく、オフゲに新たに加わったオンラインならではのソーシャル性があったからに他ならない。

オンゲの目的はゲーム体験に加えて、同じタイトルを共にするコミュニティを楽しむことにあった。

 

3.ソシャゲ

 

今日、これらのオフゲやオンゲが表現方法や操作性といった面で進化を続けていながらも、

新たに台頭したソシャゲというカテゴリに押されがちな理由としてはソシャゲの意図した目的が世間のニーズと合致しているからだと考える。

ソシャゲは専用のハードウェア、ハイスペックなPCなどでしか成し得ない高度な表現を端から捨て、誰しも持っている携帯電話を媒体とすることで圧倒的な分母のコミュニティを形成しようとした。

基本無料の料金形態からもわかるように、最重視したのはコミュニティの規模であり、「ソーシャル<ゲーム」ではなく「ソーシャル>ゲーム」である。

ガラケーが未だに主流であった2010年前後に稼働した「怪盗ロワイヤル」「モバマス」「神バハ」「パズドラ」あたりはゲーム開始直後から、やたらにやれギルドに入れだの、やれフレンド登録しろだのシステムがしつこかった覚えがある。

考えてみればポチポチするなどの一人で完結しているプレイ作業に対して、他プレイヤーの存在を意識させるこの仕組みは異様ではないだろうか。

また、タイトルによってはアプデが進むにつれて、ギルドなどの団体に属するプレイヤーが有利になるようなGvG的なイベントも展開していく。

例えば、「神バハ」のGvGでは一人のヘビープレイヤーがどれだけ頑張ったところで成し得ない限界が存在しており、限られた時間内による操作量もさることながら、ギルド内で役職を分担して適切な行動を取らないと上位報酬にありつけないといった具合である。

今となってはあらゆるソシャゲに見られる仕様であるが、当時としては画期的な協力プレイの登場であった。

 

このように、対人であれレイドであれオンゲの流行った要素である「交流」と「階級」を分断できない関係にすることで

各プレイヤーは、各々が属する小さなコミュニティに没入しやすくなると同時に、プレイヤー同士が一定のプレッシャーを与え続けることとなる。

 

 

こうなると、「ガチャでしか入手しえない強力なユニット」は自身で愛玩して活躍させるためだけの役割に収まらず、

フレンドの役に立つためだったり、コミュニティ内での自身の地位を確立させる手段をも担うようになってくる。

また更には、「ガチャから排出される大当たり」だけでなく「ガチャを回す」行為そのものにも価値が生まれつつあると考える。

射幸心やギャンブル欲を満たすうんぬんは個人の感情によるものなのでスルーするとして、

Twitterなどが普及した今日ではガチャは常に誰かが回している日常風景であり、最早、異端のゲーマーが異常な金銭の使い方をしていると思われる恐れはなくなった。

むしろ、全く知らない人間同士でも同じゲームをプレイするコミュニティさえ共にしていればシェアできる明確な話題(コンテンツ)となっている。

極端な話、ガチャの結果がゲーム内でゴミ価値なモノばかりだったとしても、それはそれで他のプレイヤーからのフィードバックを得る可能性があり、ゲーム外での価値が生まれている。

運営が予め、「圧倒的な分母のコミュニティ」を用意できていたのならば、開発は画期的なゲーム内の要素を矢継ぎ早に実装する必要は無く、

自ずとガチャ結果や二次創作などといったコンテンツをプレイヤー間で供給しあい、コミュニティの強度はスノーボール形式でより盤石なものとなっていくだろう。

 

4.ガチャシステムによるメリット

 

未成年による問題も多く、私自身も「完全運ゲーくそ!!1」と暖まることが多いガチャではあるが、現在普及しているガチャ仕様ならではのメリットも存在する。

1つはプレイヤーのプレイスタイルの多様化が挙げられる。

ゲーム内のあらゆる大当たりを所持している重課金者を除いた場合、ガチャのドロップは完全運頼みな仕様上、

最高レアリティのユニットを同数所持しているプレイヤー同士でも内訳に差が生じやすい。

よほどのバランスブレイカーがない限り、プレイヤーは自身が最も活躍できる育成方針を設定し、次第にコミュニティ内で各々が有利な対戦相手やイベントといった「役割」が明確となる。

 

かつて、「最初にガチャの金額を300円に設定したヤツを殴りたい」というTweetを見かけて私も射殺したい気持ちでいっぱいだが、

仮にガチャが1回3円になり中課金者以上が全員コンプリートしている環境だったらソシャゲはどうなるだろうか。

おそらく、誰もが似たような理想編成を組み、寸分違わぬDPSや効率を叩き出すようになる。

流石にそれではゲームにならないので運営はプレイヤーを階級化しようとするが、何を持って区別するかというと競技性の高いゲームやオンゲであったような「プレイ時間」もしくは「プレイヤースキル」に他ならない。

どちらが魅力を感じるかは別として、

この仕様では誰にでもウケが良く、そこそこ気軽であることで保っていた「圧倒的なコミュニティ分母」という独自性や優位性が失われてしまう。

ソシャゲがソシャゲと成り得る要因として、適度に易しいゲームバランスは不可欠であり、それは1回300円という微妙な料金設定と完全運ゲーのガチャ仕様に大きく支えられていると言えるだろう。

 

次のガチャメリットとして「ガチャは誰にでも平等である」点がある。

ガチャで新たに実装されるユニットはゲームにおける新コンテンツ(要素)であると同時に、コミュニティに対する新コンテンツ(話題)でもある。

あらゆるプレイヤーはガチャを介することで新コンテンツに触れる機会を与えられている点でガチャは平等なのである。

「そんなのソシャゲに限らず当たり前」なことかもしれないがジャンルによっては深刻な課題となっている場合が多い。

RPGベースのオンゲでは、キャラクターの装備やレベルを高く詰んでいくのを目指す仕様が一般的であるが、開発が新たに用意したPvEやPvPのコンテンツは大抵、頂上に近いプレイヤーを対象としている。

中堅以下のプレイヤーはゲーム内の要素を体験できないばかりか、ソーシャル面においても取り残される環境におかれる。

また、これは最前線を走るヘビープレイヤーにとっても他人事ではなく、休止などにより一度でも頂上ではなくなった時点で、次に復帰を果たしても新コンテンツを満喫するまでにレベリングや金策といった辛い作業の壁が築かれてしまう。

 

対して、ソシャゲではガチャという機能により、ライトユーザーからヘビーユーザーまで均等な確立で新コンテンツに触れる機会が与えられ、

広く開かれたイベント窓口により、プレイヤー自身が望む難易度で他のあらゆるプレイヤーと同じ経験を共にすることができるのだ。

言ってしまえば、オンゲは公平すぎる故に厳しいゲームで、ソシャゲは公平かつ優しいゲームの対価として現金(ゲーム外要素)での運試しがつきまとったものである。

この課金形態はプレイヤーにとって良いものであるとは断言できないが、少なくとも運営にとっては効率的な方式であるだろう。

 

サーバープログラマーが語る「TERA」のノンターゲット戦闘とその難しさ

ノンターゲッティング戦闘システムはサーバープログラマーはもちろん、企画者、アーティストなどすべての分野で非常に難しいことです。
アニメーションを一つ一つ個別に作成しなければならず、モンスターの大きさに応じた部分打撃判定もいちいち作成する必要がありますので、できればお勧めできません(笑)

以上はオンゲに属するタイトルの開発の意見である。

私は別タイトルで新コンテンツに挑戦し続けた経験があり、PT内で相談し続けた3週間目にしてようやくクリアに至ったことがある。

難しすぎる新コンテンツを達成した体験は大きな価値があったと断言できるものであったが、果たしてその恩恵に授かれたプレイヤーがどれだけいたかと言われると限られた数となるだろう。

つまり、開発が多くのコストや労力を費やしたコンテンツをごく一部のプレイヤーのみが享受するというスタイルには大きなロスがある。

演出が抑えられたソシャゲでは、大作ゲームよりも安価なコストで制作が可能である上に、新コンテンツにかかったコストを回収するためのガチャは誰からでも即時に集金することができるという効率的な機構となっている。

某エロゲ原作ソシャゲではサービス開始1日目にして、それまでの制作費を回収したと聞くが、大金を投じた後に期間をかけてゆっくり回収する大作オンゲと比較すると低リスクでスマートな手法だと感じる。

もちろんガチャならではの闇も深く、あらゆるゲームに適応できる理想な集金形態であると言うことはできないし、仮に「じゃあ明日から全てのゲームにガチャ導入します」とかなったら首を吊るが、

「広いプレイヤー層に新コンテンツを提供し、広い層から集金できる可能性がある」点においてガチャは優れてると言えるだろう。

5.ガチャシステムの問題点

 

先ほど「ガチャの闇」と述べたように、ガチャならではの問題点も存在する。正確には確立の問題点である。

 

「グランブルーファンタジー」の今後の方針について

 

天井制導入によりグラブルでは9万円で任意のユニットを入手することが可能となる。

 

しかし数十回、数百回ご利用いただいても確率による抽選のため対象装備品が獲得できない場合がございますが、今回の機能の実装により、ご利用回数が300回に到達した際、提供期間中に運営が定める対象装備品の中から好きな装備品を1つ獲得できるようになります。

 

書き方的には「9万円購入でオマケがもらえる」というよりも「どんなに運が悪くとも9万円で済む」という意図があると察せられる。

この”9万”という基準には賛否両論あるだろうが、天井制はガチャに限らずあらゆる運ゲーに導入するべきだと考える。

 

というのも、仮に全プレイヤーが当たり1%のくじを引く場合、

運営的に見るならば「100回に1回は誰かしら当たりを引く」ととらえるが、個人視点の場合では「25000人に1人は1000回外し続ける」事実がある。

狩りの場合は1回あたり5分、ガチャの場合は1回あたり300円として考えると、1000回試行した結果が無であることは耐え難い苦痛になるだろう。

「リアリティを求めて交通事故制を導入しました。毎日0.0019%で誰かが死にます。今日はあなたのキャラです(笑)」

という仕様に対して感じるのは、達成感を予感させる高難度ではなくただの理不尽であることは明白であるのと同様に、稀にある理不尽な不運に対して運営はケアする必要性があると考える。

 

レジェンド・カードの出現を確定させるカードパックの「救済タイマー」について

 

グラブル以前に天井制を導入した例として「ハースストーン」が有名である。

 

「World of Warcraft」におけるクエスト・アイテムの出現率や装備品の能力の発動率、「Diablo 3」におけるレジェンド・アイテムの出現率などにも採用されています。

 

いずれもソシャゲではなく対人ゲーとオンゲに属するタイトルなため、全てを模倣すれば良いとも言い切れない。

だが、「当たり4%が39回出ない場合は次で当たりが確定する」という仕様は、あらゆるプレイヤーに配慮した親切な設計であると言えるだろう。

また、注目すべきは、この事実は有志の検証の結果であり、公式から発表されたものではないというところにある。

ブリザードは販促のために本仕様を設定したのではなく、稀にある理不尽を防止するためだけに実装したのだろう。

確かに自身がプレイヤーならば1年後には「40パック目にレジェンド出たんだけど!運なさすぎ!!1」などとTweetしてるだろうし、欲は色々とアレである。

本仕様は認知していないプレイヤーにとっても理不尽を生まない事実として機能するだけでなく、運営にとっても想定していなかった「萎え引退」を阻止する役割を担っている。

 

以上は、純粋な運による理不尽であるが、隠されたガチャの内部には意図された理不尽が含まれているかもしれない。

例えば、資産を持つほど辞めづらくなるソシャゲの性質から、最初の300回は通常の数倍にレア確立を引き上げる。対して、続く700回では通常の数分の1に確立を引き下げる。

ブレはあるけど1000回で表記通りの確立に収束したのでセーフ!などと自身が悪い運営なら考えつくものだが、もしかしたら似たようなことをより巧妙に行う運営が既に存在するのかもしれない。

ソシャゲが台頭してからそろそろ10年が経ちながらも、収益に直結し、外部からはわかりづらい要素であるガチャに何の工夫もされていないとは考えづらい。

実は公式からのガチャ情報は誤りだらけで、それでもなお課金するという関係は最早ゲームの域を超えた邪悪な行為となるため、表記通りの節度を守った集金であることを祈るばかりである。

 

5.まとめ

 

長くに渡ってガチャの意味、価値、長所や短所について述べてきた。

 

最早”ガチャ”は「たかがデジタルのデータ」ではなくなっており、コミュニティに貢献するための手段であったり、高いソーシャル性が付随する。

 

中には廃課金に対して中傷する者もいるかもしれない。

だが、そのように仕組んだ創始者は批判の対象になるとしても、ガチになったゲームプレイヤーは元よりそんなものだったのではないだろうか。

競技性のあるゲームでは異常な労力を費やし、MMORPGでは異常な時間と期間をかけた。ソシャゲではそれら熱意の単位が金銭となることもあるが、従来通り、自身の属する、あるいは属したいコミュニティに応じて費やすコストをコントロールするだけのことである。

ソシャゲに限らず、ゲーム内のデータに大した価値は無くとも、プレイヤー自身が関わるコミュニティでの体験は本人でなければ価値がつけられないものであり、それにかける熱意に関して外野がとやかく言うのは野暮であるのだ。

 

 


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